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能登の女性の声を可視化する

能登半島地震の女性の経験と思いに関するヒアリング調査 報告書が作成されました


2024年1月1日に巨大な地震が能登半島を襲いました。

YUIみらいプロジェクトのジェンダー視点の地方創生助成の参加団体「公益財団法人 ほくりくみらい基金」は、当初他の地方創生助成先団体と同じく「みらいワークショップ」を1月に開催する予定でしたが、それを延期、災害支援基金を立ち上げ、募金を呼びかけるとともに、能登半島で緊急・復興支援を行う団体に助成を行っています。また、そのつながりのなかで、現地で支援や復興のために尽力する女性を中心に、情報交換のためのネットワーク「フラはなの会」が立ち上りました。

復興に向けた議論がはじまるなか、復興の議論に女性の経験・視点を反映させることを目的として、フラはなの会、ほくりくみらい基金、そして男女共同参画/ジェンダー視点の防災・復興の専門団体である「減災と男女共同参画研修推進センター(GDRR)」の共同代表で、静岡大学グローバル共創科学部・教授の池田恵子氏、YUIみらいプロジェクトは、本年3月から4月にかけて、オンラインおよび被災地でヒアリング調査を行い、報告書にまとめました。


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報告書フルバージョン「彩あふれる能登の復興へ ~能登半島地震の女性の経験と思いに関するヒアリング調査 報告書」

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報告書ダイジェスト版




調査の結果、
1. 避難所の運営において、女性や多様な人々のニーズが十分に把握されていなかった
2. 炊き出しなどの労働は、主に女性が長時間にわたり、無償で担っていた
3. 震災の影響のみならず家族・親族のケアのために出勤できず失職した女性がみられた
ことが浮き彫りになりました。

また、これらの背景として、意思決定の場に女性が少なく、平常時から女性が発言しにくい状況があったこと、平常時の女性の「仕事」の脆弱性の可能性、そしてすべてに訂通する無償ケア労働(家庭内で無償で行われる、女性の家事・育児・介護・看護などの「ケア」にまつわる労働)の女性への著しい偏りとそれを「当たり前」とする平常時からの固定的性別役割分業意識(=ジェンダーバイアス)が見えてきました。

世界に誇る自然や文化に恵まれながらも、能登は若い世代、とりわけ女性の転出により、地震前から人口減少、少子高齢化に直面していました。今回の地震後の転出も人口減少に拍車をかけることが懸念されています。



単に元の状態に戻すのではなく、より良い状況をつくっていくためには何が必要か - 

SDGs (持続可能な開発目標) の前文には次のような一文があります。

「ジェンダー平等の実現と女性・女児のエンパワメントは、すべての目標とターゲットにおける進展において死活的に重要な貢献をするものである。人類の潜在力の開花と持続可能な開発の達成は、人類の半数に上る(女性)の権利と機会が否定されている間は達成することができない。」
(持続可能な開発のための 2030 アジェンダ 前文 項目20より抜粋)

ジェンダー平等の実現と女性・女児のエンパワメントは、「死活的に重要」 ― このメッセージは能登の復興にもあてはまると考えます。

 

インタビューに対応した30代の女性は次のように語りました。

 

「私の同世代や、それよりも若い人はもともと地域に少なかったし、さらに今回の震災で数少ない若者たちが地元を離れていきました。私の知っている限り、『戻ってこない』って言っている人のほうが圧倒的に多いです。」

 

それでも、彼女は地域を離れないことを決め、経営者として事業を運営しながら、地域の再生に何が必要か、日々考えています。

 

能登が復興を遂げていくためには、多様な人の参画が必要です。
「彩あふれる能登の復興へ」というタイトルは、能登女性のネットワークであるフラはなのメンバーが、多様な女性たちが復興に参画し、美しい能登を創っていく思いをこめてつけられました。



被災や支援活動で大変ななか、調査活動にご協力頂き、貴重な声を届けてくださった13人のインタビュー参加者の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。

インタビューに参加してくださった方、そして被災地の方や被災者を支える皆様のために、報告書が復興の様々な場面で活用されるよう、YUIみらいプロジェクトは、フラはなの会と、ほくりくみらい基金の取り組みを今後もサポートして参ります。

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